「低迷期のカープ」を伝え続けた地元出版社とそれを支えた故・三村敏之の教え |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「低迷期のカープ」を伝え続けた地元出版社とそれを支えた故・三村敏之の教え

広島カープ25年振りのリーグ制覇。そこにあった知られざるサイドストーリー。

■アスリートマガジンと三戸の出会い

 そんなとき、現在サンフィールドの社長であり、『広島アスリートマガジン』の発行人でもある三戸治郎が、『アスリートマガジン』と出会う。2002年のある日、金融機関で営業として活躍していた三戸は知人を通じて「『アスリートマガジン』を引き継いでくれる企業を探してもらえないか?」という依頼を受けた。しかし、当時のカープはBクラスが続く暗黒時代。さらプロ野球人気自体にも陰りが出始めていた。引き受け先は簡単に見つからなかった。
 懸命に引き受け先を探し、プレゼンをしながら三戸の中に使命感が芽生えてきた。
「しっかり営業をすればいけるかもしれない。このままだとカープ情報を伝える専門誌がなくなってしまう。全国のカープファン、関東のカープファンにカープ情報を届けないといけない。自分も、高校野球を通じてスポーツに人生を助けられてきた。今度は自分が広島のスポーツに貢献すべきではないか」

 実は三戸、高校野球の名門・広島商業高校野球部の出身である。高校1・2年はチームの活躍をスタンドから見つめていたが、早朝からの自主練習で力をつけ、3年最後の夏には「3番・ライト」の座をつかみ取った。
「努力はいつか報われる。いや、努力すれば誰かが見てくれている」
 10代に培った信念は、経営者になっても揺らぎない土台になっている。

 そうして三戸の“腹”は決まった。不思議と「雑誌を売ろう」という気持ちはなかった。むしろ「カープファンを増やしたい」という気持ちが大きかった。

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